様々な感染症の治療に使用される抗生物質「クラビット」
クラビットは、尿路感染症をはじめとしていろいろな感染症に有効な抗生物質です。ここでは、クラビットが有効な細菌や副作用などについてまとめました。
クラビットは多くの感染症に有効な抗生物質
クラビットはニューキノロン系の抗生物質に分類され、細菌のDNA複製を阻害することによりその効果を発揮します。尿路感染症や皮膚感染症、呼吸器感染症など多くの感染症に有効なため、医療現場で幅広く活躍しています。ここでは、クラビットがどのような感染症に対して使用されるのかを一つひとつみていきましょう。
膀胱炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)
クラビットは、大腸菌やインフルエンザ桿菌(かんきん)、クラブシエラ・ニューモニエなどのグラム陰性桿菌に有効に作用します。そして、膀胱炎や腎盂腎炎を引き起こす主な細菌はこれらのグラム陰性桿菌です。このことから、尿路感染症になるとクラビットがしばしば処方されます。
緑膿菌感染
緑膿菌はもともと私たちの体内に存在する菌で、健康な状態のときにはこれといって問題になりません。しかし、免疫力が低下していたりすると緑膿菌が原因で体調を崩すことがあります。緑膿菌に効く抗生物質はあまり多くありませんが、クラビットはそんな緑膿菌に対しても有効です。
性病
性病の原因菌のなかでも感染者が特に多いのが、淋菌とクラミジアです。両方の菌に同時に感染することも多いため、注意しなければいけません。そして、クラビットはこれらの感染症の治療に使用される代表的な抗生物質となっています。
結核
クラビットは結核菌にも有効です。結核を治療できる医薬品は限られているため、クラビットは結核の治療において重要な位置を占めます。また、結核菌は抗酸菌に分類されており、クラビットは結核菌以外の抗酸菌を殺す作用もあります。
クラビットの副作用
いろいろな感染症の治療に利用できるクラビットですが、副作用はあまり多くないため安心して服用できます。とはいえ、副作用が出る可能性がないわけではありません。ここでは、クラビットを服用したときに発現しうる副作用をご説明します。
比較的発現しやすい副作用
発疹が出たり、下痢をしたりすることがあります。症状が長引くようであれば病院を受診することをおすすめします。また、光線過敏症になることもあります。敏感肌の人などは、クラビットの服用中は直射日光を避けるようにしましょう。
重大な副作用
クラビットで重大な副作用が現れることは滅多にありません。しかし、念のため起こりうる重大な副作用とその初期症状を覚えておくとよいでしょう。
・ショック、アナフィラキシー
気持ち悪くなったり、息が苦しくなったりします。また、手足の冷えやしびれ、じんましん、全身発赤、めまい、血圧低下などの症状が現れることもあります。
・腎障害
血尿や尿の濁りなど、尿に異常がみられます。むくみやだるさ、吐き気なども生じます。
・肝障害
だるさ、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみなどの初期症状が現れます。
・肺障害
肺障害としては、間質性肺炎などが挙げられます。息切れするなどの症状が出ます。
・大腸炎
下痢をしたり、激しい腹痛に襲われたりします。
・横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)
初期症状として、手足のふるえ、けいれん、筋肉痛、歩行困難などがあります。
・低血糖
力が抜けた感じになり、ふるえや寒気、動悸、冷や汗などが生じます。
クラビットの耐性菌が増えている
クラビットは多くの菌に対して有効なため、病院でもしばしば処方されます。しかし、現在はクラビットが効かない「耐性菌」が増えていることが問題になっています。治療にクラビットが多く使われるからこそ、その作用に対して抵抗性を持つ耐性菌がどんどん増えてしまうのです。淋菌やクラミジア、溶連菌などに感染したときにはクラビットがよく処方されますが、最近では治療がうまくいかないケースも増えています。
クラビットに限らず、抗生物質はある程度の期間使用すると耐性菌が出てきてしまいます。その耐性菌を殺すことができる新しい抗生物質を開発しても、さらに抵抗性の強い耐性菌が生まれます。抗生物質と細菌は、イタチごっこを繰り返しているのです。
これ以上クラビットの耐性菌が増えるのを防ぐためには、クラビットの使用を最小限に抑えるしかありません。感染症にかかったときにはクラビットを服用する必要がありますが、自己判断で購入したり服用したりしないようにしましょう。必ず医師に診察してもらい、クラビットで治療しなければいけないのかを確認してください。
クラビットで適切な治療を
クラビットは、幅広い感染症を治療することのできる抗生物質です。しかし、近年では耐性菌が増えているという問題も生じています。クラビットの耐性菌が増えると、感染症にかかる誰もが不利益を被ることになります。これ以上耐性菌が増えるのを防ぐためにも、クラビットを服用するときには必ず病院で医師に処方してもらってくださいね。
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