抗菌薬のクラビットってどんな薬？その特徴を解説します

2017/09/29

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クラビットは、第一三共が製造販売している抗菌薬です。病院でしばしば処方される薬なので、服用したことがある人も多いと思います。ここでは、そんなクラビットについてまとめました。

クラビットの効果

クラビットは、抗菌薬の中でも多くの細菌に対して効果を示すことで知られています。そのため医療現場でも幅広く活躍しており、主に泌尿器感染症や緑膿菌感染症、性感染症、結核などに対して使用されます。

泌尿器感染症

クラビットはこれらの感染症の原因となるグラム陰性桿菌（大腸菌、インフルエンザ桿菌、クラブシエラ・ニューモニエなど）に対して有効なため、泌尿器感染症の治療に使用されます。泌尿器感染症としては膀胱炎や腎盂腎炎などが挙げられます。またクラビットは前立腺炎にも使用されます。

緑膿菌感染症

緑膿菌感染症は、いわゆる日和見感染症の代表的な存在です。他の細菌と同時に感染することが多く、抵抗力が低下している人が緑膿菌に感染すると呼吸器感染症や尿路感染症、菌血症、敗血症などにつながります。緑膿菌に対して効果を示す抗菌薬は多くはありませんが、クラビットは緑膿菌感染症の治療にも効果を発揮します。

性感染症

性感染症の中でも罹患者数が多いのが、性器クラミジア感染症と淋病です。どちらも悪化すると不妊の原因になりかねない恐ろしい病気ですが、クラビットはこれらの原因菌に対しても有効です。性器クラミジア症と淋病に同時にかかる人も少なくありませんが、クラビットであれば両方を一度に治療できます。

結核

結核といえば、HIVの次に死者の多い感染症として知られています。結核の原因となる結核菌は抗酸菌で、クラビットは抗酸菌に対して効果を示すため結核の治療のために使用されます。ただし結核の治療は単一の薬で行われることはなく、他の薬とも併用しながら治療を行います。結核の治療に使用される薬としては、ほかにリファンピシン、イソニアジド、ストレプトマイシン、エタンブトール、ピラジナミドなどがあります。

クラビットのメカニズム

クラビットの主成分はレボフロキサシンで、ニューキノロン系抗菌薬に分類されます。抗菌薬はその種類によってメカニズムが異なりますが、クラビットは最近のDNA複製を阻害することによって細菌を死滅させます。

細菌が増殖するときにはDNA複製が不可欠ですが、このときに必要なのがDNAジャイレースです。DNAジャイレースは、らせん状になっているDNA鎖を切断することで読み取りを可能にします。クラビットはこのDNAジャイレースを阻害することによって細菌の細胞分裂を妨げ、抗菌薬としての効果を発揮します。

なお、細菌の細胞分裂には欠かせないDNAジャイレースですが、ヒトはDNAジャイレースを有していません。そのため自分自身の細胞を攻撃することなく、細菌だけを選択的に死滅させることができるのです。

クラビットの服用方法

医薬品は1日3回に分けて服用するものが多くありますが、クラビットは1日500㎎を1回で服用します。クラビットの500㎎1日1回服用は、100mg1日3回服用よりも耐性菌の出現を抑えられることが分かっています。なお、用量や剤形を変更するときも1日1回服用を守ることが大切です。

なお、耐性菌とはその医薬品に対して抵抗性をもってしまった菌のことです。感染症の治療のために幅広く使用されていたクラビットだけに、現在では耐性菌が多くいることが問題になっています。これ以上の耐性菌出現を防ぐためにも、クラビットは本当に必要なときだけに必要な量だけを服用することが大切です。

クラビットの副作用

細菌に選択的に攻撃するクラビットは、比較的副作用が少ない薬だといえます。もし副作用が出た場合は、医師または薬剤師に相談するようにしてください。

主な副作用

主な副作用としては、下痢、悪心、発疹などが挙げられます。また光線過敏症を引き起こす可能性もあるため、皮膚が弱い人や長期間にわたってクラビットを服用する人は極力日差しを避けることをおすすめします。

重大な副作用

稀ではありますが、クラビットで重大な副作用が起こる可能性もあります。重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、痙攣、QT延長、心室頻拍、急性腎不全、間質性腎炎、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、汎血球減少症、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少、間質性肺炎、好酸球性肺炎、大腸炎、横紋筋融解症、低血糖、アキレス腱炎、腱断裂、錯乱、せん妄、抑うつ、過敏性血管炎、重症筋無力症の悪化などがあります。