クラビットで腹痛や下痢の副作用が出るのはなぜ？その理由と対処法を解説！

2017/09/29

クラビットは医療機関で幅広く活躍している抗菌薬で、感染症にかかって処方されたことがある人も多いと思います。そして、中にはクラビットによって腹痛や下痢になったことがある人もいるのではないでしょうか。ここではクラビットを飲んで消化器系の副作用が起こる理由、およびその対処法をご紹介します。

クラビットで腹痛や下痢の副作用が出る理由

抗菌薬には様々な種類がありますが、クラビットが属するニューキノロン系の抗菌薬は比較的副作用が少ないことで知られています。それは、人間ではなく細菌にだけ攻撃できるようなメカニズムになっているからです。

細菌がDNA複製をして細胞分裂するために必要となるのが「DNAジャイレース」です。DNAジャイレースは、らせん状になっているDNAを切断してねじれをとる働きがあり、これによってDNA複製が可能となります。ニューキノロン系抗菌薬がアプローチするのは、このDNAジャイレースで、これを阻害することによって抗菌薬としての効果を発揮します。

クラビットが安全だといわれるのは、人間がDNAジャイレースを有していないからです。人間と細菌では細胞分裂の過程が異なるため、細菌だけを選択的に死滅させることができるのです。
ただし、細菌の中には人間にとって良い働きをするものもあります。その一つが腸内に存在する善玉菌で、代表的なものとしてビフィズス菌やルミノコッカス・コプロコッカスなどが挙げられます。これらの細菌には悪玉菌の増殖抑制や有害物の吸収阻害、病原菌感染の予防などの効果があり、私たちの健康に大きく貢献しています。

しかし、クラビットは病原菌だけではなくこのような身体にとって必要な細菌をも死滅させてしまいます。必要な腸内細菌が死滅すると、腸内環境をうまく整えることができなくなります。そのため、クラビットによって腹痛や下痢などの副作用が起きてしまうのです。

腹痛や下痢に対する対処法

ここでは腹痛や下痢に対する対処法をご紹介します。クラビットを飲んでこれらの症状が出たときには、ぜひ実践してみてください。

整腸剤や胃腸薬を飲む

クラビットに限らず、抗菌薬を飲むと多くの人が消化器系の副作用を訴えます。そのため多くの医療機関では抗菌薬と同時に整腸剤や胃腸薬を処方しています。もし処方されていない場合は、病院で相談してお薬をもらうとよいでしょう。

クラビットの用法用量を守る

飲み忘れた分を一気に飲むなど、正しくない飲み方をしている人も多いようです。しかし、用法用量を守らないと副作用が強く出ても不思議ではありません。クラビットの基本的な飲み方は、500㎎を1日1回です。一気に倍量飲むのは大変危険なので注意しましょう。

善玉菌を増やす

前述したように、クラビットを飲んで消化器系の副作用が起きるのは善玉菌が減ってしまうことが原因です。そのため、善玉菌を増やすのも対処法として考えられます。善玉菌を増やす食材としてはヨーグルトやキムチ、ぬか漬け、味噌、納豆などがあるので、ぜひ毎日の食事の中に取り入れてみてください。

抗菌薬を変更する

基本的に、どのような抗菌薬でも腹痛や下痢の副作用はあります。しかし、人によって合う薬と合わない薬があるため他の抗菌薬に変えたら副作用がよくなるというケースは珍しくありません。クラビットが合わないのかもしれないと思ったら、医師に相談してみてください。

クラビットのその他の副作用

腹痛や下痢やクラビットの代表的な副作用ですが、他にも起こり得る副作用は存在します。ここではクラビットのその他の副作用をみていきましょう。

よくある副作用

よくある副作用としては、腹痛や下痢などの消化器症状の他にめまい、頭痛、不眠などがあります。特に不眠の症状が現れる頻度は高く、承認時の臨床試験及び製造販売後臨床試験においては2.6％の人に不眠症状が認められました。また、日光が当たることで皮膚が赤くなったり水膨れができたりする光線過敏症になる人もいます。特にクラビットを長期間使用する人や肌がデリケートな人は、できるだけ直射日光を避けるようにしてください。

重大な副作用

クラビットを飲んで重大な副作用が起きることは極めて稀ですが、念のため注意してください。重大な副作用としては、ショックやアナフィラキシー、重い皮膚障害や粘膜障害、痙攣、不整脈、腎障害、肝障害、血液異常、肺障害、大腸炎、横紋筋融解症、低血糖、アキレス腱炎、腱断裂、幻覚、錯乱、過敏性血管炎、重症筋無力症の悪化などがあります。